都営三田線蓮根駅、駅前通りから一本入った路地に面する長屋形式の集合住宅である。1階にワンルームが2住戸、2・3 階にメゾネット式の住戸が2住戸の計4住戸を計画した。
周辺は住宅が密集して立ち並び、更には前面道路が袋小路であることもあり、近隣の家々の生活の様子が感じられる雰囲気が残っていた。
コの字型の壁と水廻りを集約したコアから構成される住戸を、隙間を空けて2棟配置し、2棟の隙間の空間に階段、前庭、奥庭を配置した。このことにより、各住戸の居室間に配置された前庭・奥庭と階段室が緩衝帯となり、隣り合う居室同士が直接界壁を共有することなく、隣接する住戸との物理的、心理的な距離を保っている。
各居室は、前庭・奥庭と連続した空間とし、全ての住戸において敷地の最大の奥行きと、敷地の約半分の広さを感じられる空間を実現している。
階段室の空間は路地へと開かれた空間とし、プライバシーの確保された居室と、路地へと開かれた階段室という対照的な空間を行き来する事で、暮らしの中に変化に富んだ体験が生まれることを目指した。